2024年9月25日水曜日

カーフェリーで北海道に行く

自分のクルマで北の大地を走る!

そういう妄想をお持ちの各位,お元気でしょうか.この夏,当方もやってみました.備忘録としてまとめておきたいと思います.

まとめ

  • 仙台-苫小牧往復(太平洋フェリー)を選択.所要時間より到着時間.
  • 個室は快適だが外窓がない場合も.小刻みな揺れが気になる.
  • 乗船・降船はそれなりに時間がかかる.航行時間+2時間半ぐらいは見ておく.
  • 費用的には許容範囲.同じクルマはレンタカーに無い,と思えば.
  • 体験できてよかった.もう一度やるか?と言われると・・・


どのフェリーで行く?

カーフェリーを使ってみたい!という意見は家族からは賛同を得られず,当方が一人でクルマとともにフェリーを使い,家族とは新千歳空港で合流することになりました.

さて,東京港か横浜港から北海道まで連れて行ってくれるフェリー・・・というものは残念ながら運行されていません.

東京から北海道へカーフェリーで移動するとなると,おそらく下記からの選択になるでしょう.

フェリー本州側北海道側
発着地新宿駅から
商船三井大洗131km苫小牧
太平洋フェリー仙台360km苫小牧
新日本海フェリー新潟323km小樽
新日本海フェリー秋田588km苫小牧
シルバーフェリー八戸669km苫小牧

八戸はトラック輸送向けに本数が多いのですが,さすがに遠い.秋田も同様で,ちょっと諦めました.

おそらく一番人気は大洗-苫小牧(商船三井さんふらわあ)じゃないかと思います.夕方便と深夜便がありますが,夕方便は19:45大洗発・翌日13:30苫小牧着(所要17:45)です.

悪くは無いのですが,苫小牧着が13:30なのが少し残念.降船や移動のことを考えると新千歳空港着は15:00ごろになってしまいそう.

仙台-苫小牧(太平洋フェリー)は19:40仙台発・翌日11:00苫小牧着(所要15:20)です.

思ったより大洗便と所要時間に差がありませんが,苫小牧に2時間半早着できるのは結構大きい.

新潟-小樽便(新日本海フェリー)は新潟を12:00に出て小樽に早朝4:30着.めいいっぱい北海道で遊びたい人にはこれがいいかも. ただ,当方の場合,家族が早朝の飛行機で来るわけでもないので,ちょっと使いにくい時間帯です.オッサンには早朝から1日遊ぶ元気がありません・・・

結論から言って,当方は到着時間重視で仙台-苫小牧を選びました.


帰りの便は違う経路を使ってもよかったのですが,結局逆区間の苫小牧-仙台にしました.

小樽発は17:00発と出発が早く,新千歳空港に家族を送り,さらに乗船締切時間までに小樽港へ到着しようとすると,北海道最終日はほぼ移動だけになってしまいます.

苫小牧発の大洗行は18:45発.新千歳空港からもさほど遠くないので良いですが,帰りは19時間以上かかります.

19:00発の仙台行は帰りのほうが速くて15時間で着くので,結局こちらを選びました.


船酔いはしなかったが気になる点も

船では一等個室を取りました.オッサンなんで.

運用される船によって個室タイプには若干の差異があり,1人で利用できる個室(定員2名)も行きと帰りで異なっていました.

往路の「きたかみ」は比較的新しく,「クロスツイン」という2段ベッドの上下を90度回転させて結合したような部屋でした.幅を抑えているんでしょうね.

部屋は洗浄器付便座とシャワーブースを備えたバスルームがあり快適です.

またこの部屋の場合,窓は外部に向けて設置されていて,外の景色を眺めることができます.

「きたかみ」のクロスツイン 丸いスツールが置かれていました

一方,復路の「きそ」は「きたかみ」より大きいのですが少し古く,一等洋室はごく普通に2つのシングルベッドが並行に配置されたツインルームです.

この部屋も悪くないのですが,設備は若干古いです.また,窓はあるものの内側(吹き抜け)に面しており,曇りガラスなので外の様子を伺うことはできません.

1人でこれ以上のグレードの部屋を利用することはできない(閑散期で空きがあればできるらしい)ので,外を見たければ共用部に出る必要があります.

「きそ」の一等洋室 窓はくもりガラス

部屋にいて少し気になったのが小刻みの振動です.波による上下動とは違う感じの,機械振動的な揺れです.波を蹴るせいなのか機関の振動なのか分かりませんが,ずっとそれなりに揺れています.

私は乗り物酔いをしない性分で,行きも帰りも熟睡しました.でも,神経質な方にはちょっと厳しいかもしれません.家族をむりに説得してフェリーに乗せるのは得策でないと思います.

また港を離れると携帯の電波はほぼ入りません.乗船中に仕事をこなしてしまえるかな・・・と期待していましたが,ネットがないことと微振動のせいでほとんど手につきませんでした.フェリーに乗ったら寝る,が良いようです.


乗船・降船

未体験ゾーンである自家用車での乗船・降船.多くの係員が誘導してくれますので,アナウンスをしっかり聞いていればとまどうことは無いと思います.

仙台港乗船待ちレーンに並ぶ 誘導に従っていざ船内へ
立体駐車場のごとく第2甲板へ 意外に明るい「きたかみ」車両甲板

注意しなければいけないのは,乗船・降船にはそれなりに時間がかかる,ということです.

多くのフェリーで乗船手続きは2時間前までに,とアナウンスされますが,手続きが締め切られるとまもなく乗船が始まります.遅れないように気を付けましょう.

狭い船内へ効率的に車を積み込むため,乗用車が終わった後もトラック等の乗船が続きます.それだけ手間のかかる作業なのですね.

同様に,降船にも時間がかかります.積み込まれた位置にもよりますが,30分ぐらいは見ておいたほうがいいです.

結果として,フェリーの移動は航行時間+2時間半ぐらいが必要になる,という印象です.


費用はどうか?

時期により変動することを承知の上で,当方の場合で費用を考えると「まあ許容範囲かな」というところです.

往路のフェリーは33,500円(室料7,000円+乗用車26,500円),復路は32,400円(室料5,900円+車両26,500円)で,往復合計65,900円でした.

家族の羽田ー新千歳航空券はANAスーパーバリュー75にて片道22,140円,往復44,280円/人でした.

その差額は21,620円.北海道での滞在日数によりますが,レンタカーだとコンパクトカーをキャンペーン価格で借りられるかどうか,という金額ではないでしょうか.

ただし,東京ー仙台の高速料金(片道9,000円前後)やガソリン代(10円/kmとして7,200円ぐらい)もかかってきますし,食事もするでしょう.

家族全員でフェリー,なら結構経済的だと思いますが,当方のようにフェリー1人だと「割安」ではなさそうです.

ま,レンタカーに無い自分のクルマを持っていく体験はプライスレスということで.


次もフェリーで行くか?

寝台列車に乗るとかキャンピングカーに泊まるとか,なんとなくやってみたい小さな冒険ってありますよね.

今回のフェリー旅は当方にとってその1つだったので,やったこと自体は満足です.

また北海道を自分のクルマで走り回るのは気分がいいですね.東京では運転したがらない息子も積極的にハンドルを握ってくれました.


ただ,クルマ&フェリーで行く北海道には大きな欠点もあります.それは「帰りも必ずクルマ&フェリー」ということです.

つまり,旅程に必ず前後1日,合計2日の移動日ができてしまいます.

休める日程を必死に合わせて旅行に行く現代日本人にはなかなか厳しいですよね.当方のケースでも,家族は1日休みを残して帰宅しましたが,当方は翌日から出勤.なので仙台港からわき目も振らずに帰りました.

東北旅行などを織り込めばいいのかもしれませんが,なんとなく旅の目的がぼやけてしまうような気もします.

高価なもの(ロードバイクとかゴルフセットとか)を傷つけずに運びたいとか,大きな物や壊れ物を買って帰りたいとか,何より自分のクルマで北の大地を走りたいという強い希望が無いと「もう1回」は難しいかな.


なお,最低地上高の低いクルマは乗船が難しいようです(参考).

当方の隣にレクサスLCが並んでいたのですが,最低地上高が足りないとのことで待たされていました(きっと工夫して載せてくれたと思いますが).船内でも,ポルシェは見ましたがフェラーリやランボルギーニはいませんでした.SUVはこういうとき安心ですね.