SONYがホンダと合弁会社を設立して,自動車(BEV)を売る,という話がありますよね.AFEELAという名前で.
ずいぶん長い予告期間を経て,アメリカ・カリフォルニア州に限って受注が始まりました.彼の地での納車は2026年中頃とのこと.日本に来るのは2027年でしょうね.
この車,安いほうで9万ドル弱,高いほうは10万ドル超えと高価.テスラ・モデルSより1万ドル高いのです.それでいてスペック的には現在販売されているライバル車と同程度.レビュー目的の初期需要が終わったら売れそうにありません.
しかも高いほうのSignatureでもボディカラーは地味な3色しか選べず,安いほうは黒一色.相当な上級者向けです.
オペルの日本再参入レベルで勝ち筋が全く見えず,本当に発売されるのか?と疑問に思います.Consumer Reportsでも「9万ドル超のセダンにたった200ドルの予約金」が揶揄されてますね.
それでもAFELLAが売られるとして,その理由は何なのか妄想して楽しもう,というのが本記事の目的です.
AFEELAが売られるとしたら,その理由はXperiaと類似のものになるでしょうか.
つまり,
- 有力ソフトウェア企業との取引関係維持
- 市場情報の観測
- 利用者情報の収集
といったことかもしれません.
もしかすると,SONYお得意のセンサ類を自動運転向けエッジコンピューティング化するにあたって,生のデータを集めてくれるデバイスが欲しかったのかもしれません.
ただ,そうだとしたら既存のホンダ車をベースにしても良いように思います.車内エンターテイメントうんぬんもしかり.
ツルンとした特徴のないボディ,地味でコントラストのないボディカラー,わざわざ屋根上に出っ張ったセンサを考えると,やはり本丸は自動運転なのではないかと思います.
最初のAFEELA1では無理かもしれませんが,やっぱりレベル4を目指さないと意味がないように思いますし,中の人は目指しているのではないでしょうか.自動運転じゃなきゃ,車内エンターテイメントにも限界があるでしょうし.
小型ヒューマノイドのQrio (SDR: Sony Dream Robot)があれだけ世間を騒がせながら結局発売に至らなかったことを考えると,AFEELAの商品力ではとうてい市場にたどり着けないと思います.それでも発売するのであれば,ユーザーの手に渡る製品で無ければ得られない情報を,採算度外視で取りに行っているのでしょうね.
(余談)
AFEELAには2つ,大きく欠けている要素があると思うんですよ.
1つはカッコよさ.クルマとしてのすごさ感.
2023年に発表されたコンセプトEVに,ランボルギーニ・ランザドール (Lanzador)ってありますよね.発売されるとしてもだいぶ先のようですけど.
こいつ,やっぱりカッコイイ.一目でランボルギーニと分かるデザイン.それでいてEVで4座.エンジンが無くなったおかげで後席にちゃんと大人が座れます.しかし4ドアにはせず,大きな2枚のガルウィングドアで乗降性を確保.意外とスジが通っています.
AFELLAとは価格帯が違うと思いますけど,やっぱり一目見て「効く」クルマが欲しいですよね.
もう1つはバカバカしさ.突き抜け感.
せっかくジャパニメーションの国から来たのですから,機動戦士Zガンダムに登場するモビルスーツみたいに全天周モニター運転席とかやってくれたらいいのに.電池が減ると画像が荒くなったりしてもそれっぽい.
対話相手のエージェントだって,GrokのAniを超えていかないと!
ほとんど情報が無いのでわかりませんが,運転体験という意味でAFEELAに新しいことは無さそうなので.
当然ながら,AFEELAには現時点での私には想像もつかない素晴らしい体験があるのかもしれません.
でもSONYは結構中途半端な製品を出しちゃう前科がありますよね.βマックスしかり,CoCoonしかり.AFEELAはどうでしょうかね.
追記(2026年1月)
CES2026での展示を受けてAfeelaが再び話題に上っていますね.
SUVタイプの試作車登場もあって比較的肯定的な報道が多いようですが,私はかえって心配になりました.Afeelaは本当に発売されるのかな?
心配の1つは,計画が遅れていることに対して尤もらしい理由付けがないこと.
米国のEVビジネス環境の変化を理由に挙げてますけど,SHMはBEV専業メーカーなんですから,市場環境に対応していく術がないと生きていけないはず.これだと,ビジネス環境が好転しなければ参入取りやめもありうる,と言えちゃいますよね.
技術的な問題と商品力の欠如,これがAfeelaの参入を阻んでいる理由でしょう.
2025年中は"Early 2026"とされていた試乗(Test drive)がオフィシャルサイトから消えています.
Business Insiderの記事で試乗機会に言及していますが,SHMの会長は「走り」を理由に挙げているようです.でも,これまでAfeela 1は走りを訴求していませんでした.
たとえ走りが粗削りでも,いままでと異なる「モビリティ体験」はアピールできるんじゃないでしょうか.
つまり,試乗の機会が延期されているというのは,いまの時点で「いままでと異なる体験と呼べるものが無い」からでしょう.
一方で,自動運転について「将来的にはレベル4相当の技術を目指す」とされたことも不安です.これまでは「レベル4は目指さない」と言ってきたのに.
つまるところ,SHMが差別化可能なモビリティ体験(車内でゲーム?)のためにはドライバーを運転から解放することが必須,という当然の帰結に改めて至った,ということなのでしょう.
SDVだから,発売後のアップデートでレベル4に・・・ということかもしれませんが,それだと発売当初はAfeelaならではのモビリティ体験はできない,ということになりそう.一方で安易に「ドライバーもゲームに熱中できます」として事故が起きれば,(米国だと)巨額の賠償訴訟を起こされるでしょう.
レベル4の自動運転という,テスラを始めとする既存BEV専業メーカが取り組んでも難しい課題を,SHMが数年以内に解決できるのか?できたらいいよね・・・そのころには汎用技術になっているかもしれないけど.
1年前のCES2025での記事で,川西社長は「AIやSDVは手段であって目的ではない」と述べておられて,それには100%同意なのですが,では「目的」って何なのか?私たちにもう少し教えてくれても良いように思います.
まあ,野次馬の感想なので,試乗記が報道されるのを心待ちにしておきたいと思います.