(おっさんポエム注意)
キヤノン・ニコンから135フルフレーム(フルサイズ)ミラーレスが登場した一方で,カメラ業界の不振について多くの報道を目にします.
新規格で登場した2社のカメラについては,口径論争をはじめとする他社ユーザー(主にソニーα)とのマウント合戦を目にします.
このような中,カメラ業界の不振を招いたのは誰か?といった議論もなされています.その中では,カメラ女子ブームやオールドレンズ遊びを揶揄するのが定番となっているようです.
しかしながら,「カメラ女子」や「オールドレンズ遊び」こそ趣味としてのシステムカメラの王道だ,と当方は思うのです.
プロのツールであれば,カメラに限らず要求仕様が先にあり,それを満たすものが採用されるはずです.プロのフォトグラファーが求める仕様がシステムカメラでなければ満たされないのであれば,システムカメラの存在意義は失われません.
マスマーケットを占める非プロユーザーでも,天体撮影や自動車レース,航空写真を目的とするなら求める仕様が決まるでしょう.ただし,純粋にそのような目的でカメラを購入する方は,カメラじゃなくて天体/レース/航空機が好きなのでしょう.
当方も含めて,システムカメラを購入している非プロユーザーの多くは「良い写真はもちろん撮りたいが,カメラという精密光学機器自体も好き」なんじゃないでしょうか.
目的が決まっていないから,求める仕様も決まっていない.なので,何でも言えるし言い合いになるわけです.
カメラボディに固定されている撮像素子のサイズを,なぜ135フィルムサイズで考えるのか?そこに意味はありません.
受光面積が大きいほど感度で有利なのは物理的に当然ですから,高感度を求めるなら大型素子がいいわけです.が,要求仕様が決まっていませんからどこまで大きくしていいのか決め手もないのです.結局「買える範囲で」「持てる範囲で」大きくしましょう,となるわけですが,人によって財力も体力も違いますから,統一的な解なんて無いわけです.
135フィルムサイズ用に設計されたレンズを本来の画角で使う.135フィルムサイズの撮像素子にこだわる理由はこれしかありません.
ソニーEマウントはフルサイズにしては口径が小さい.ネット上ではよく目にします.でも,さらに小さいライカMマウントを批判する人はほとんどいません.ブランド力もあるでしょうけど,歴史を生き抜いてきたライカM用レンズ群を通して世界を見てみたい,というシンプルな要求は安易な批判を寄せ付けないのだと思います.
当方も,岳父の形見であるニコンS用レンズやペンタックスTakumarレンズを使ってみたいがためにソニーαを買いました.当時は,135フィルム用レンズを本来の画角で使うためにはα7シリーズしか選択肢がなかったのです.こういう人は結構いるのではないでしょうか.
オールドレンズの「味」とは欠陥である,との言葉は全くもってその通りなのですが,それがエンターテイメントなのです.21世紀になって蒸気機関車がけん引する列車になぜ乗りたがるのか?その「欠陥」の立ち現れ方に,英知の積み重ねと先人の心意気が詰まっているのです.
システムカメラは,その「味」を楽しめるツールであり,象徴であるわけです.ならば,その象徴をファッションに取り入れた「カメラ女子」や「オールドレンズ遊び」こそ.非プロユーザーにとってシステムカメラの存在意義なんじゃないか,と思うのです.
カメラメーカーが生き残るには,「味」の象徴でありつづけるための努力や工夫が必要なんじゃないでしょうか.ライカはなんだかうまいことやってますよね.
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