NASのケースファンを交換しました.
交換作業についての自己満足記録と,交換時にNASの構造を見て思うところあったので書き残しておきたいと思います.
NASのファンがうるさい!
当方,IO Data社のLAN DISK HDL2-H8というNASをスモールなオフィスに導入しております.
この機種はすでに生産終了品ですが,よく似た姿の製品が現行機種にもあります.
で,うるさいんですよファンの音が.
スマホの音量メーターで測るとさほどではないのですが,筐体にファンの音(風切り音)が共鳴して,コォォォォォ……というノイズを響かせるのです.これがすごく気に障るんです.
これまでの2年強は在宅勤務が多かったので,まあいいか,という感じだったのですが,オフィス滞在時間が戻ってくると耐え難い騒音なんです.
Admin画面から設定を探してもファン制御に関する項目がないので,それならファンを静音モデルに交換してしまえ!というわけです.
ファンのスペック
このNASは背面に排気用ファンが1基だけ設けられています.
プラスチック製のハウジングに収められていて,ネジ1本で交換できます.
ファン自体のサイズは80mm角×25mm厚の一般的なものです.
ちなみに,このハウジング付きファンは補修部品として販売されていたようで(現在は生産終了),交換手順も掲載されています.
元々付いていたファンはADDA社のAD0812XB-A7BGPという12VのPWMファンです.定格4500RPMとのこと.
いくらHDDが冷えても人間が壊れては元も子もないので,いわゆる静音ファンに交換しちゃいます.定番のnoctuaから同じサイズのNF-A8を用意しました.
ちなみに,両者のスペックを比較すると下表のような感じです.noctuaは消費エネルギーやパワーが少ない分,騒音レベルはかなり下がります.
名称 | 定格出力 | 定格回転数 | 羽枚数 | 排気量 | 最大静圧 | 騒音 |
---|---|---|---|---|---|---|
m^3/h | mmAq | dB(A) | ||||
ADDA AD0812XB-A7BGP | 4.2W | 4500RPM | 7 | 104.4 | 8.05 | 47.0 |
noctua NF-A8 PWM | 0.96W | 2200RPM | 7 | 55.5 | 2.37 | 17.7 |
ファンの交換
元のファンはゴム(シリコン?)のペグでケースに留まっているので,慎重に引き抜き,noctuaと交換します.ペグを通しにくかったので,四隅についていた防振パッドは外しました.
サイズが同じなので,当然ながらピッタリ収まります.なお,元のファンが排気方向だったので,同様に取り付けました.
コネクタが標準的なケースファンのものと違うので,noctuaに同梱されていた延長ケーブルを切って元のファンと同じタイプのコネクタをつけました.2.54mmピッチ・プリント基板用コネクタ・XH-4Aというタイプです.
なお,4本のケーブルは(-, +, FG, PWM)ですが,ADDAが(黒, 赤, 白, 青),noctuaが(黒, 黄, 緑, 青)でした.
取り付けてスイッチを入れると,無事にファンは回りました.完全無音ではありませんが,格段に静かです.
なにより耳障りな共鳴音が非常に小さくなったので,かなり満足しています.
起動後しばらくして管理画面からシステム情報を見ると,ファンは1300~1600RPMぐらいで回転しているようでした.まだ定格まで余裕があるようです.
NASのエアフローって・・・
ファン交換にあたってこのNASの設計にかなり疑問を感じたので,書き留めておこうと思います.
ファンをハウジングごと外すと,正面に緑の基盤が立ちはだかります.思わず「えっ」って声が出ました.
この基盤の向こうにHDDが2基並んで入っています.つまり,基盤に開けられた小さな穴から,ファンは必死に空気を吸っていたのです.
ケースを外して真横からみるとこんな感じ.いわゆる「ファン窒息」の状態です.
この基盤は写真の奥側にあるメイン基板から垂直に立ち上がっているので,メイン基板の熱気もかなり苦労してファンのところまでやってくることが想像できます.
さらにケース左右には前方にスリットがあり,主に空気は脇(写真の手前側)の空洞を流れているものと思われます.
素人の目でみて,エアフローがきちんと考えられた製品とはとても思えません.流路無視で設計された筐体のツケを,小型高回転のファンに負わせている,そんなふうに見えます.そりゃ騒音が大きくなるでしょうよ.
「NASのファンがうるさい」という声はネット上で散見されるのですが,質問サイトなどでは「うるさくて当然」「HDDを守ってるんだ」みたいなコメントばかりがついていました.
当方も以前は「そうなのかも」と思っていましたが,今回中身を見てからは「あんまり真剣に冷やさなくてもいいんじゃないの?」と思うようになりました.
少なくともスモールオフィス向け製品で「うるさくてよい」ことなど無いはず.消費エネルギーやファン寿命の観点からも好ましくないでしょう.
これからは「エアフローの設計」をちゃんと考えたと謳う製品の登場を期待したいです.
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